乗客の状態1


 41回は、1500人乗りの船に830人くらいは乗っていると云う。1200人くらいの申し込みがあったけれど,サーズの流行のお陰で800人台になってしまった。その内半数くらいが若者というのは、平和運動の船だから当然だけれど、中高年の男女が40%もいるのが驚き。
  世の中は、何にせよ女の方が優勢なので、この船も女性約60%、男性40%である.催し物の会場の殆どは7階にあるため、7階デッキは船のメイン通路になっている。そこに座っていると、乗客の様子が大体わかる気がします。
  5才くらいの男の子が同じくらいの女の子と駆けまわる。異様な風体の若者達が行き交う.見分けのつかないおじさん達が話し込んだり、ぼんやりソフアに座りこんだり,おばさん達は船の中でもせっせと何かしています。
  2才から92才までの老若男女800数十人が船の中で一つの町を構成している特殊な環境だから異常なのはしかたないとしても、この連中で3ヶ月も同じ空間を共有するとなると、最初はなんだか恐ろしい気がしました。
  こんなに沢山の男女の若者を間近に見たのも初めてなら、中高年の男や老女の集団の異様な雰囲気も、共同生活の苦手な私には珍しい見ものです。めったに挨拶はしない,何となく目が合わない様に人を避けるのが日本的で,親しくなるには時間がかかるんだと、終わりのころには納得。

  2日目の朝食のあと、山川夫人が追い駆けてきて、茶髪でド派手な若作りの女性を紹介してくれた。72才というがスタイル抜群で唄って踊るのが大好き,98 日の船旅だから98枚ドレスを持ってきたというお洒落です 。
  「ジューシーと呼んでノノ」名刺を見たら十糸という名前なので、違和感はあったがそう呼ぶことにした。
  「うんのちゃん、シャンソン教えてよノ..二人で唄わない? コンサートやろうよ、みんなで唄うのも良いし」 などと調子の良いこと.オリビアという前の船の36回目の世界一周に参加した彼女は物知りで、私は良い様に鼻面を引きずり廻された感じ.運命の出会いだったのです。
  2度目だから船員やスタッフとも顔見知りだし、やたらに愛想をふりまくのが ちょっと異常で、一緒にいるのが何となく気恥ずかしい。
  [船上の恋、ジューシーの男100人斬り]という写真展を最後にやる予定で、見境なく男性と二人の写真を撮るから、女性客には評判が悪い。 どうしてあんな人と仲良くするんですか、とか彼女があんまり私にひっつくので、姉妹か従姉妹同士ですかと度々聞かれて参った。
  両手の指に幾つもの指輪をはめ,凄く変わったネックレス、両耳にはイヤリング、濃い化粧にケバケバの派手な衣装で、装飾品は、甥がくれたエジプトの命の鍵という銀製のネックレスのみ、黒いズボンに赤緑紫のTシャツ3枚を洗っては替えるだけの私とは大違い。
  『どうしてキンキラキンのあんたと、オンボロの私が似ていると思われたり、ひどい時には間違われたりするのか解らないよ』と文句は云うのだが、どうも目立つところが似ているらしい.逃げ場のない船のなかなので私は諦めの境地。
  3ヶ月間、2人3脚みたいな生活に人は見たでしょうが、気にしても始まらないので私は私なりに行動しました。
※写真はジューシー、山川夫人、私、山川氏